漫風夜話

漫画に関連した過去の思い出や日常をエッセイ風に綴る。

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夜話-06 ダンさんと阿佐ヶ谷

ダンさんこと漫画家永島慎二さんにお会いしてサインと画を描いてもらったのは「若者たち」の舞台になった阿佐ヶ谷の「ぽえむ」という喫茶店で、マスターやご本人、そしてアシスタントの向後つぐお、村岡栄一、三橋乙揶(シバ)等がそのまんま作品に登場していた。後に彼等は漫画家やミュージシャンとして活躍されている。

 直筆画

当時、美術学校に通っていた私も阿佐ヶ谷のボロアパートに住んでおり、アパートというより江戸時代の素浪人が住みそうな平屋の長屋で四畳半、家賃にして畳1枚が1千円ほどであった。入口から2件目で、開き戸をスライドすると右手に洗面できる程の小さな流し台とガスコンロがついていた。仕切りはベニヤ板一枚という祖末なもので、隣の物音は全て聞こえてくる環境でプライバシーも何もなかった。
ただし驚いた事に住み始めて数ヶ月後に水洗トイレが全部屋についたのだ。傍目にはボロアパートであったがトイレだけはりっぱだった事を思い出す。もちろん流れる音は隣近所丸聞こえであったが・・・。
(水洗トイレといっても昔は天井に水を溜める箱が取付けられていて、そこからぶらさがる鎖をひいて水を流すので滝の様に水が落ちてきて音もすごかった・・・。箱ごと落ちて来たり、鎖が切れて流せない時もあった)


1件目も学生で夜になると尺八の練習で「ヴァオーヴァー」と音程がはずれぱなしの音色がストレートに聞こえ、隣は怪しい男女が住んでいて、銭湯から帰ると夜な夜な営みが始まり、丸聞こえする悪辣な環境に2年近く住んでいた。それだけ丸聞こえの環境が時には人助けの役に立った時もあった。怪しい男女は近所の評判になり、いたたまれなくなりそそくさに出て行った、その後に入居した怪しい男がある日その1件先に住んでいた女性の部屋に忍び込み強姦しようとした時だった。友人とニッカのレッドを飲みかわしていた時、女性の悲鳴が聞こえ友人と木刀を持ってその男を捕まえたのだ。女性は無事で次の日男は大家から追い出され、女性も即刻引っ越して行った。ボロアパートの思わぬ利点であったといえるのかなぁ?。

予断であるが、その数ヶ月前に強姦男に怒鳴り込まれた事があった。先の友人とオカラをつまみに上機嫌で飲んでいてついつい声がデカクなってしまったのだろう、何しろ仕切りはベニヤ板一枚なので筒抜け状態、強姦男も我慢の限界だった事は良くわかる。

こうした環境なので深夜お金もないのにブラついていたのだが、このボロアパートの通りすがりにあった「ぽえむ」にコーヒー一杯で粘った。(昔の喫茶店は深夜遅く迄営業している事が多く、なんとトーストまでついていた)
その店にダンさんこと漫画家永島慎二さんがよく来られていたのだ、お住まいも近くマスターとも仲がよさそうであった。(漫画で有名になった「ぽえむ」はその後中央沿線沿いにお店が増えたのだが、今ある「ぽえむ」は阿佐ヶ谷のマスターの系列かどうかは知りません。)

阿佐ヶ谷、高円寺は学生や漫画家、演劇人、「ガロ」編集長の故長井勝一氏も住んでおられた。いまだ道が狭く古いアパートも見受けられるが私が住んでいたボロアパートは遠の昔になくなり、永島慎二先生も2005年6月10日、慢性心不全のため死去された。合掌。
(歩) 2010.2.20

神戸長田に漫画塾を始めました。
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